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特別対談

デル株式会社 代表取締役社長 平手智行氏

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䔥 敬如

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「Digitalの未来」

今、ITの世界で大変革が進行中だ。ビジネスや産業がデータを中心に組み変えられ、データをどう扱うかで企業のありかたまでが左右される時代になってきたからである。IT系企業にとってはそれを担うシステムやサービスをいかに創り、支援できるかが勝負となる。この大変化について、大洋システムテクノロジーの䔥 敬如が、長く親交のあるデルの平手智行氏と語った。

〈高度経済成長期を支えた日本型システムが変革を阻む〉

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平手 智行氏

平手さんとは1歳違い。私が27歳くらいのとき、あるゼネコンのプロジェクトで初めてお会いして以来、いろいろと教えていただいています。私にとっては師匠のような存在です。

平手氏:

いやいや私の方こそ、䔥さんにはずっと注目してきました。当時、私はまだ日本IBMにいて、䔥さんはソフトウェア技術者でしたね。

そうですね。弊社は私の父が機械設計の会社として始め、次第にメカトロニクスやソフトウェアの分野を拡大していったという歴史があります。私も当時はアセンブラの技術者として機械を動かすためのソフト開発などに携わっていました。C言語やJavaが登場する前のことですよ。

平手氏:

ITの世界は以後、めまぐるしく変化しましたが、大洋システムテクノロジーは、それに適応しながら変化し、成長している。すごいことだと思います。

ありがとうございます。当社でかつてドラフターで設計図面を引いていたエンジニアは、今ではほとんどソフトウェアのエンジニアになりました。しかし全体として今の日本のITやシステムは、世界の最先端に比べるとかなり立ち遅れているように見えます。平手さんはこれをどうご覧になりますか。

平手氏:

日本では高度経済成長を支えたシステムが今も健在であることが大きな課題ですね。プログラムコーディングによって各企業の要件にきめ細かく合わせたシステムが今も稼働し、しかも堅牢ですから、まだまだ使えます。レガシー(遺産)と呼ばれつつ、なかなか変革ができません。

なぜ変革が必要かと言えば、データ中心の時代になったからですね。

平手氏:

その通りです。それによって大きく世界は変わりつつあります。システムから言うと、従来の基幹系システムのように正確な情報管理を得意とするSoR(System of Record)に代わって、顧客との関係構築や創造的なマーケティングに適したSoE(System of Engagement)が台頭してきました。この二つは構造もインフラの持ち方も適した開発手法も異なります。

ところが、SoEのためのシステム開発が日本では大幅に遅れてしまったんですね。

平手氏:

プロセッサ一つ見てもSoRではCPUが主役ですが、SoEではGPUが重要な役割を果たします。こちらは画像処理に強く、並列処理ができ、計算速度も速い。

それを聞くと、AIにも向いていることがわかります。

平手氏:

ビッグデータやAIを活用して、社会や経済を変革させていくべき時代に、日本では過去のシステムが優れているがゆえに、逆に出遅れてしまったのです。

IT投資や作業負担の面から見ても、変えなければならない時代に入っていると思います。

平手氏:

レガシーシステムでは、シングルサインオン(一つのユーザ名とパスワードで各種のWebサービスにログインできるしくみ)やデータ転送など、かなり多くの機能はプログラムコーディングで実現します。しかし今はあらかじめインフラに近いレイヤーに組み込めるので、システム全体に占めるアプリの比率は減らすことができます。コストにおいてもアプリケーションのメンテナンスには非常にコストがかかるため、ここを減らせば、お客様の負担は減ります。

やはり、これまでの成功体験が大きいでしょうね。変革をしなくても、データ中心に作り替えなくても、これまでのシステムはちゃんと動いていますからね。それでも常に「お客様の勝利のそばにいたい」という思いが私にはあります。今日のような大きな変化の潮流があるときは特にそうです。企業のリーダーが悩み、どうすべきかと考えたとき、当然、現実とのギャップが見えてくる。そこを私は埋めたいと思っています。

平手氏:

逆に今の日本の多くのシステムベンダーは、お客様の変革を促すというより、これまでのシステムで何とかなります、という論法になっています。これは本来あるべき姿ではありません。だからこそ大洋システムテクノロジーには非常に期待しています。

〈IoTやデータ中心の鍵となるエッジコンピューティング〉

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 敬如

では、弊社のお客様となる日本企業は、デジタルテクノロジーの点で、これからどうしていけばよいとお考えですか。

平手氏:

基幹系システムのようなレガシーシステムと、データ中心のシステムは、アーキテクチャも、開発手法も違います。ここを踏まえて考える必要があります。

アーキテクチャで言えばマイクロサービス・アーキテクチャ、開発手法ではアジャイル開発が注目されていますね。

平手氏:

従来型のアーキテクチャは、モノリシック(一枚岩型)と呼ばれ、さまざまな機能をまとめて一つの構造として処理しますから、小さな修正も全体に影響を及ぼします。金融機関の勘定系システムなどが典型ですね。一方、マイクロサービス・アーキテクチャでは、各機能を独立させ、相互にWeb APIでつなぐ形で処理します。
こうした構造に適した開発手法がアジャイル開発ですね。これはしばしば、従来の開発をただ迅速化したものであるように誤解されますが、開発のやりかた自体がまったく違います。従来の代表的な開発手法では、全体で上流から下流への大きな流れを作りますが、アジャイル開発では、小さな単位で設計、実装、検証を繰り返して開発します。それにより、データ中心で開発ができ、スピードが上がり、顧客の要望や変化も柔軟に反映できるわけです。

そうした手法によって今、日本企業がしなければならないことは?

平手氏:

レガシーシステムには貴重なデータが蓄積されています。本当にデータ中心で作ることが必要な部分はアジャイル開発で作る。もう一つはレガシーから、データ・インテグレーションによってデータレイク(多種多様な形式の膨大なデータを格納したり、前処理できる場)を作る。アジャイル開発したシステムとレガシーをつなぐことも可能です。そのうえでデータをAIで活用していくことですね。

レガシーシステムにも強みがあるということですね。

平手氏:

レガシーを全否定するのではなくて、そこにある宝のような資産を活かすにはどうしたらよいかと発想することが大切だと思います。

そこでもう一つ、重要になってくるのがエッジコンピューティングですね。

平手氏:

これはIoT(Internet of Things)活用の鍵になります。AIの精度を上げるには画像データなど非構造データを大量に集める必要があり、これは外界から、端末にあるセンサで集めてくることになります。従来、IoTではセンサで得たデータをクラウドに送り、そこで処理して何らかの知見にして端末に戻すという発想でした。しかしこの2層構造ではリアルタイム性の高い機能は果たせません。例えば、自動運転されるコネクテッドカー(IT端末化した自動車)が走っているとき、センサとクラウドだけでは、反応に時間がかかり、目の前に飛び出してきた人や物を瞬時に回避することができません。そこでデバイスやセンサと接続されるエッジの近くにサーバを置き、ここで分析、処理することが必要になる。つまりセンサを持つエッジとクラウドの間にサーバを置く3層構造ですね。「エッジ」と呼ぶのは、センシングの対象となる物理世界とコンピュータが扱うサイバー世界の境界(エッジ)の技術だからです。しかしここをいかに作るかは、技術的には最もむずかしいところです。

考えてみれば、日本には優れたセンサ技術があり、既に膨大な数のセンサが実際に使われていますよね。

平手氏:

そうなのです。ところがそれが十分に活用されていませんでした。異なるセンサを組み合わせることもなかった。またセンサはかつては有線でないと信頼性に乏しかったのですが、ジグビーやLTE、ブルートゥースなどの無線技術が発達して使いやすくなりました。さらに弊社など複数の企業が参画してEdge X boundaryというセンサや無線技術の共通フレームワーク(言語)も開発しています。

エッジは「現場」に近いので、日本企業が現場に積み上げた知見が活用しやすくなりますね。

平手氏:

エッジは今後さらにインテリジェント化し、いろいろなことができるようになります。少し前にアメリカで、最も重要なデータはどこに存在しますかと尋ねたら、多くの人がクラウドと答えたと思います。しかし現在、最も重要なデータが5年後どこにありますかと尋ねたら、エッジだと答えるでしょう。というのは、エッジは接続されたより多くのデバイスやセンサを遅延なくリアルタイムに制御する必要が高まり、複数のクラウドで生成される知見を繰り返し獲得し、より高度に自律化されるからです。
残念なことにこのエッジコンピューティングに日本は出遅れてしまったのです。しかしその中で大洋システムテクノロジーは非常に良いポジションにいますね。もともとハードウェアやセンサ系技術を持ち、ファームウェアやソフトウェアにも強い。アジャイル開発も手がけている。さらに業務コンサルティングもできる。今後のエッジコンピューティングの構成要素がすべてそろっていて、IoTビジネスを牽引するにふさわしい存在だと感じます。

〈人類がこれまで知らない世界の創造に参加できるおもしろさ〉

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平手 智行氏

私は引き続き、従来型のビジネスモデル策定でまだ行けるだろうと考えていたのですが、平手さんと論議するうちに、データを根拠に策定するビジネスモデルの重要性にあらためて痛感しています。膨大なデータから知見を獲得し、新しいビジネスモデルを策定、あるいは、既存の製品サービスに素早く反映させることで、新しいユーザーエクスペリエンスを創出し、大きな利益と更なる分析に必要な大量のデータが作られる。

平手氏:

AIが競争力の差別化となる企業は本当に多いですね。

多いですね。その場合も私たちは、データはありますか、取れますか、という話から始めます。AIには結果の原因がわからないままのブラックボックスと、原因を解析できるホワイトボックスがあり、今、弊社では出資先企業が国立大学のAI研究所と共同で、ホワイトボックスを研究しています。ホワイトボックスを開発するにはデータサイエンティストが必要で、その育成も大切ですね。

平手氏:

それにしても、最近のデータ量とそれを処理する技術の発展はすさまじいものがあります。例えば中国当局の発表によれば、中国には1億7000万台の監視カメラがありますが、これらが20億人を検索するのにわずか数秒しかかかりません。

近年のデータの収集の方法は尋常ではないですよね。それも当然で、データをいかに取るかが、その企業や産業の盛衰を左右する時代になると考えられているからでしょう。

平手氏:

これは(ソフトバンクの)孫さんがおっしゃったことですが、産業革命は人間の身体能力の拡張だったのに対し、情報革命は人類史上初めて、知的能力の拡張です。つまり私たちは今まで人類が知らなかった世界に入りつつある。それに欠かせないのがデータとAIです。

大洋システムテクノロジーとしては、お客様の成功に貢献する技術やアイデアを提供したいと思っています。個人的に企業としての大きな転換期を振り返ってみると、インターネットの誕生、ケータイ(ガラケー)からスマートフォンへの移行などいくつかありますが、今、「データの時代」になったこともその一つ。毎週行われる社内の会議の報告を聞いているだけでも、恐ろしいくらいの変化のスピードも感じます。

平手氏:

データ中心やAIのトレンドに日本は出遅れましたが、これから本気で最先端のデジタルテクノロジーに追いつかないといけません。人類の新しい世界を創造することに参加し、そのためにも、従来の知見や資産を活用し、既存の構成要素をモダナイズしていく。若い世代はそういう刺激的なおもしろい時代にいることを知ってほしいですね。

今の10代、20代の人たちは、生まれたときからデジタル世界に慣れ親しんでいますから、ごく自然に適応していくと思います。

平手氏:

確かにそうですね。私たち世代よりもデジタル世界の本質を感覚的に理解していると思います。

この対談を読んでいる若い世代の中にも、そういう人がたくさんいるはず。ぜひ若い人たちが、さまざまな役割を担い、この新しい世界の創造に参加してほしいと思います。

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